沼津で独立に至るまで

 

僕は生まれも育ちも神奈川県川崎市です。小さい頃はここから出まいと地元の高校、地元の大学、地元の就職先で。と考えていました。

高校を出て二年制の専門学校を卒業し、すぐこの世界に入りました。以降生き残る事が厳しいこの世界で日々技術を学び失敗を繰り返し、様々な経験をさせて頂き現在に至ります。

30年近く住んでいる地元に出来れば工房を構えて地元に恩返しが出来ればと考えていましたが、なかなかガラス工房の出来る土地と巡り合えません。諦めかけていたそんな時条件もなかなか良い土地と出会いました。

沼津漁港には昔から深海水族館にデートに行ったり、朝市を見に単身バイクでツーリングに行ったり、海を眺めたくて海岸に寄ったり、思えば何かと惹かれていた沼津。仕事で静岡の方々とふれ合う事が多くなり、県民の暖かで穏やかな雰囲気がとても好きで、毎年静岡に仕事で行くのが楽しみになるほどでした。土地を見つけたとき運命的なものを感じ親を説得して静岡県民になることを決めました。

実はもし工房を持てなければガラスを辞めるという選択もありました。ただ、辞めるということ諦めるということは今まで応援してくれた友人、親族、お客様の思いも無にしてしまう事です。

仕事を続けていくたび「ここで買ってからガラス集め始めました」とか「ファンになりました」と言ってくださる方が増えてきて、そういった方々に出来る恩返しは工房を持ち続けていくことだと思わされました。

僕にとって工房とは「恩返し」の一つの形なのです。

​